司法書士あんしん相続事務所

岐阜市民のための相続ガイド④遺言があるとき

更新日:2020年12月18日

【記事公開日】令和2年11月19日

【最終更新日】令和2年12月18日(目次追加)


本記事では、家族が亡くなったときにすべき手続きをまとめました。手続きの全体を把握することを目的とし、各手続きの詳細は参考リンクから確認できるようにしています。

岐阜市内の方向けに、行政手続きについては市役所や関係機関へのリンクも掲載しています。


【岐阜市民の相続ガイド 記事リンク】

  1. 亡くなった直後とお葬式
  2. 届出と保険・補助金・給付金
  3. 遺産分割~各種手続・名義変更
  4. 遺言があるとき(本記事)
  5. 順次公開

4.遺言があるとき

【目次】

遺言があるとどうなるの?

遺留分

遺言の種類

遺言執行者

まとめ


遺言があるとどうなるの?

遺言書の作成

遺言とは被相続人(亡くなった方)の相続財産の承継や特定の身分行為(子の認知)等についての意思表示で、死亡の時に初めて効力を生じます(民法985条)。

基本的には、被相続人の死亡後に遺言書の有無とその内容・有効性を確認し、遺言に沿って相続の手続きを進めていくことになります。詳細は後述しますが、遺言にはいくつかの種類があり、種類によって必要な手続きが変わります。

なお、相続人全員の同意があれば、遺産分割協議を行い、遺言の記載と異なる形で相続をすることが可能ですが、この場合には法律関係が複雑になり、登記や相続税に影響が出る可能性もありますので専門家に相談することをお勧めします。

遺留分

もし遺言の内容が「○○にすべての財産を相続させる。」といった内容であっても、兄弟姉妹以外の相続人は一定の割合まで相続する権利があり、これを遺留分といいます(民法1042条)。あくまで権利ですから、遺留分を主張しなくても問題はありません。また、遺留分を侵害する内容の遺言であったとしても法律上問題はありません。遺留分の侵害額に相当する額の請求は、原則として金銭で請求します(民法1046条)。

遺言の種類

遺言には、3つの種類があります。種類によって、必要な手続きが変わります。

(他にも緊急時などに作成する特別方式遺言がありますが、今回は説明を省きます)

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

自筆証書遺言

自筆証書遺言

自筆証書遺言は本文が自筆で書かれ、封筒で閉じられたタイプの遺言書です。

このような遺言書を発見した場合、いきなり開封してはいけません家庭裁判所で「検認」と呼ばれる手続きを経て、初めて内容を知ることが出来ます。検認の当日には、少なくとも申立人は立ち会わなければなりません。(※)

検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。(裁判所ホームページより)

検認が終われば、家庭裁判所から検認済証明書が発行されます。遺言の内容に問題が無ければ、遺言と証明書をセットで後の相続手続きに使用していくこととなります。

注意すべき点として、自筆証書遺言は一定の形式に従って作成する必要があり、それらが守られていないと遺言書としての効力を有しない可能性があります。専門家が介入せず作成された自筆証書遺言については、司法書士等に相談するなどして形式・内容の有効性をしっかりとチェックしましょう。

※令和2年7月から始まっている「自筆証書遺言書保管制度」を利用して法務局に保管された遺言については検認は不要です。

【参考リンク】

遺言書の検認 | 裁判所

公正証書遺言

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場に所属する公証人の立会のもと作成された遺言書です。

自筆証書遺言と異なり検認が不要で、すぐに内容を確認し、そのまま相続手続きに使用することができます(※)。というのも、公正証書遺言は作成段階で公証人に本人確認・意思確認を受けており、公証役場に原本も残っていますから、改めて検認をする必要がないのです。

※公正証書遺言には「正本(公証人の認証により原本と同じ効力を持つ写し)」と「謄本(原本の写し)」があり、手続きによっては正本が要求されることがあります。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、公正証書遺言と同じく公証役場で作成する遺言ですが、名前の通り内容は誰にも見せず、秘密にすることができます。作成に立ち会う公証人でさえ事前に内容を確認することはありません。この遺言の性質上、公証役場で作成するにも関わらず検認が必要なせいか、ほとんど利用されていないのが現状です。

遺言執行者

遺言書の中で、遺言執行者が指定されている場合があります。遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します(民法1012条)。つまり、遺言書の内容を実現するための管理人と言えるでしょう。具体的な役割としては、以下のようなものがあります。

・相続人への就任通知(民法1007条)

・財産目録の作成、交付(民法1011条)

・相続財産の管理(民法1012条)

・遺贈の履行(民法1012条2項)

・不動産登記申請・銀行手続き等(民法1014条)

なお親族だけではなく、遺言の作成に関わった司法書士や弁護士等が遺言執行者に指定されているケースもあります。このような場合には、すぐに遺言執行者へ相続発生の連絡を行いましょう。


まとめ

「遺留分」・・・・・兄弟姉妹以外の相続人に保障される相続分

「検認」・・・・・・家庭裁判所で遺言書の内容を明確にする手続き

「遺言執行者」・・・遺言書の内容を実現するための管理人

今回の記事では遺言の種類と手続きの説明をしました。

上の3つが遺言を理解する上で重要なキーワードになりますので、ぜひ覚えていてくださいね。


【記事を書いた人】司法書士 岩田慎也

1991年、岐阜市生まれ。県立岐阜高校、名古屋大学経済学部を卒業。22歳で司法書士試験に合格。

愛知県の司法書士事務所に約3年間勤め、毎日お客様からの相続・遺言相談に対応。

2020年、岐阜市花園町で司法書士あんしん相続を開業。

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